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NFT(Non-Fungible Token)とは?10分で理解するその概要と歴史

2022年7月5日

近年、NFTが大きな話題を集めています。

ただのデジタルアートが何十億円もして話題になったり、海外の有名人がNFTを出したり、企業がNFT事業に参入したりと話題に尽きることがありません。

なんとなく海外では話題になっているNFT。しかし、実際のところ、よく分からない。

それもそのはず、実は日本におけるNFTの理解度は他国に比べても非常に低いのです。

下記は豪Finder社が20か国28,000人に行った調査結果ですが、主要国の中でNFTを知らないと回答した割合が最も多かったのはなんと日本でした。

その割合は、なんと90%。
実に10人に1人しかNFTを知らないのが現状です。

この記事にたどり着いた方は仮想通貨投資をしていたり、NFTに興味がありもっと知りたいと思っている方ですので、おそらくその10人の中の1人にあてはまっている方でしょう。
統計的な意味合いでは、この記事を読んでいるだけで結構珍しい方であると言えますし、最後まで読んでいただければ100人中3人くらいの理解度になるかもしれませんね。

日本人の90%はNFTを知らない!?
「Most people still don’t know what a NFT is」Finder社、2021年9月調査より

日本人の90%が知らないと答えているアンケートですが、アメリカでも70%の人は知らないですし、イギリスやドイツでも80%前後は知らないと答えているので、日本人が強く悲観する必要はないと思います。
ナイジェリアやフィリピンなど、経済や政情が不安定なほうがクリプト関連の普及度合いが高いのはいつもながら注目に値しますね。

この記事では、まだまだ知られていないNFTの歴史や背景を、10分程度で簡単に把握できることを目指します。

NFTを購入する際にはイーサリアムが必要になるのが一般的です。
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あまりまだ理解が進んでいないNFT市場ですが、市場規模は確実に成長していくだろうと見込まれています。
調査会社のTechnavio社によれば、2021年の240億ドルから2026年には1,470億ドルにまで急成長していくだろうとしています。

1,470億ドルって、1ドル100円換算でも約15兆円ですよね…日本の建設業の市場規模が約15兆円だそうなので、ほぼ同規模程度になるという予想です。
ちょっと積極的すぎる予想だと個人的には感じるのですが、世界では関連領域まで含めてNFTは伸びていくという認識なのでしょう。

ちなみに、成長の43%をアジア太平洋地域が担うと記載されており、もちろん日本も含まれています。

Global Non-Fungible Token NFT Market 2022-2026, Non-fungible Token (NFT) Market by Application and Geography - Forecast and Analysis 2022-2026より

そのように産業として有望視されているNFTですが、具体的にはどういう歴史や背景を持つ技術なのでしょうか?
この記事では、10分くらいを目安に、読み切っていただければNFTに関する知識を把握できることを目指します。

目次

そもそも、NFT(Non Fungible Token)とは?

NFTとは、「Non-Fungible Token」(非代替性トークン)の頭文字をとった略語です。

非代替性の文字通り、NFTが付与されたトークン(つまりデジタルデータ)は、「世界で唯一のもの」と証明されます。

具体的には、NFTはそのデジタルデータの所有者、制作者などの履歴が記録された証明書付きデータと定義できます。

NFTは「NFTアート」の文脈で一般化しましたので「NFT=アート」と勘違いされてる方が散見されますが、そうではありません。

「NFT=証明書付きデータ」であり、「NFTアート=証明書付きデータ」と考えていただけると分かりやすいかと思います。

よく、「デジタルデータは簡単にコピペできるのだから、NFTアートに価値など無いのでは?」というコメントを以前はよく見ましたが、確かに簡単にコピーが可能ですし、今までは所有権どころか著作権の証明すら簡単ではありませんでした。

ビットコインやイーサリアムと同様にブロックチェーン上でその証明がなされており、ブロックチェーン(具体的には、ブロックチェーン上で改ざん不可能な所有権が追跡される仕組)がNFTを可能にしたと言えます。

しかし、NFTの技術をもってすればデジタルデータ(デジタルアート)の所有権や著作権も、リアルなアートと同じように唯一性を証明ができるようになりました。

NFTの特徴

NFTには、以下の4つの特徴があります

・非代替性
・所有権の証明
・自由取引
・二次販売手数料

これらの特徴を理解すれば、NFTがなぜ世間の耳目を集めているかがわかるはずです。

非代替性

NFTはNon-Fungible Token、日本語に直すと「非代替性」という意味であることは上述しました。

非代替性とコピーの違いを説明する際には、よく「サイン入りグッズ」が例に出されます。

「イチローがサインした2009年WBC使用のグローブ」は唯一無二ですが、「イチローモデルでサインがプリントされているグローブ」はミズノが量産できる商品です。

つまり、イチローがサインしたグローブと、イチローモデルのグローブは見た目は同じですが、意味合いが異なるということですね。
いつどの大会でサインしたかまで、後世になっても由来を語ることができます。

NFTはこういった問題をブロックチェーンで解決します。
これは、今までの名画が贋作によって悩まされてきたことを考えると、大きな進歩です。

ちなみに、日本のデジタルビジネスの第一人者、伊藤穣一博士は非代替性を「お祓いを受けたお守りと、受けてないお守りの差」と以前にYouTubeで説明されていました。

所有権の証明

従来のデジタルデータは、誰でも簡単にコピーができるものでした。

ではなぜ、ジャック・ドーシーの初tweetがNFTになっただけで、290万ドルで落札される事態になったのでしょうか?

*2020年12月、Twitter創業者のジャック・ドーシーが初めて投稿したtweetをNFTとしてオークションに出品。約290万ドルでイラン出身でマレーシアのIT企業家が落札しました。ちなみにジャック・ドーシーは落札金額を全て、アフリカ地域支援の非営利団体Give Directlyに寄付。

290万ドルで落札されたジャック・ドーシーの最初のtweetNFT

落札したイラン出身マレーシア在住の起業家シーナ・エスタビ氏はこの時、「これはただのtweetではない、数年後にはこれにモナ・リザと同じくらいの価値があることに気付くだろう」とtweetをしています。

このニュースを見たとき、これは非常に面白い新旧アートの比較だなと思いました。

つまり、ジャック・ドーシーのtweetも、モナ・リザも、一般公開されていて誰でも見ることができることに変わりはありません。

そして、tweetにも美術品にも、見て楽しむ以上の機能はあまりありません。
一般公開されていて見れればそれ以上のことは通常は求めないでしょうが、この落札者はtweetの所有者になりたかったということです。

モナ・リザはルーブル美術館が所蔵しています。
エスタビ氏は投資目的なのかコレクター欲なのか、はたまた売名目的なのか分かりませんが、ルーブルのようにこのtweetの所有権を得ることに大金を払ったわけです。

上記はただの一例ですが、このようにデジタルデータの所有権を持つことに意味が出てきたことは画期的です。

自由取引

NFTは自由取引マーケットです。

悪質な詐欺行為によって奪われたNFTがOpenSeaなどのマーケットプレイス上に出品された場合は運営側が没収するなどの対応をすることは可能ですが、基本的には規制に縛られることなく、自由な取引が行われています。

NFTは非中央集権的なブロックチェーン上(例えばイーサリアムのチェーン上)にやり取りが記録されるため、所有権や非代替性の証明を企業や団体などの第三者に依存しません。

このNFTが誰のもので、どういったものなのかについては、NFTの記録を見れば明らかだからです。

そのため、NFTマーケットの参加者はフラットな関係性のもとに、自由にNFTの取引を行えます。

売買に特別な資格は必要ありません。

二次販売手数料

NFTの特徴として、「二次販売手数料」という仕組みがあります。
とても画期的な仕組みで、二次販売時に最初の制作者が手数料を得られるという仕組みです。

従来のアートは、美術商やコレクターの手にわたってしまった後は、制作者が利益を得られる仕組みがありませんでした。
つまり、絵画を画商に売った時に得られるお金のみが、アーティストの利益だったと言えます。

しかし、NFTでは制作者がに対して、常にロイヤリティを支払う設定にすることができます。
そうすることで制作者が仮に0.01ETH(2022年7月時点約1,300円)のような安値で展開を始めても、そのNFTが100ETH(2022年7月時点約1,300万円)で二次流通で出回れば、仮にロイヤリティ率を5%と設定していれば5ETH(2022年7月時点約65万円)が制作者の手に自動的にわたるようなことが可能です。

これは、従来型のアートにはできなかったことで、画期的な仕組みといえるでしょう。

NFTのメリットとデメリット

NFTには将来性があり、今までにないブロックチェーンならではの特徴があることも分かりました。

それでは、NFTと向き合うにあたり実際にはどういったメリットとデメリットがあるのでしょうか?

NFTのメリット

NFTのメリットは、よく言われるのは下記の3点でしょう。

・デジタル上で少額からアートに投資ができる
・OpenSeaなどのNFTマーケットプレイスで誰でも購入・販売が可能である
・NFT市場自体が伸びていく可能性があり、今後の値上がりが期待できる

簡単に解説します。

デジタル上で少額からアートに投資ができる

従来のアートは、素人には難しい投資ジャンルでした。

購入するにも画廊や画商、もしくはオークションに参加しなければならず、敷居が低いとはお世辞にも言えなかったでしょう。
絵画であるならば画家が描いた一点ものを購入する形でした。

しかし、NFTのメリットはデジタル上で少額から投資ができることです。

例えば、今人気があるNFTシリーズは「ジェネラティブ(Generative)」という、複数の部位を用意して機械的に組み合わせ、数千、数万のNFTを作る技術を採用しています。

これを採用することで、通常はアーティストが数十点を制作する労力で、多くのNFTを生み出すことに成功しています。

また、画廊やオークションを通さずプラットフォーム上、もしくは制作者のHPから直接買い付けるパターンが多いので、間接手数料も低いです。

こういった条件もあり、今高額なNFTも、最初はとても安く売りだされるケースが大半となっています。
*例えば、国内で最大規模を誇るCrypto Ninja Partnersも、最初は150円くらいから売り出されていました。

OpenSeaなどのNFTマーケットプレイスで誰でも購入・販売が可能である

従来のアートは、素人には難しい投資ジャンルでした。

購入するにも画廊や画商、もしくはオークションに参加しなければならず、敷居が低いとはお世辞にも言えなかったでしょう。

しかし、NFTはイーサリアムやメタマスクの用意ができれば、誰でも購入者・販売者になれるといっても過言ではありません。

NFTはアートだけに限りませんが、従来のアート投資に存在したハードルが著しく下がったのは間違いないでしょう。

メタマスクの導入を検討される方は以下の記事もどうぞ。

https://katoh.blog/metamask/

NFT市場自体が伸びていく可能性があり、今後の値上がりが期待できる

NFTは改ざんができない、唯一性を証明できる「非代替性トークン」です。
これによって今までのアート作品が担保できなかった希少性や唯一性を担保しています。

NFTを購入すると購入者の権利=所有権が取引履歴に記録され、ブロックチェーンで客観的にそれを証明することができます。
上述のようにNFT市場は成長が見込まれているわけですが、従来のアート投資以上に利便性が高いNFTを持ち続けることで、将来的な値上がりも見込めます。

NFTのデメリット

メリットの反対に、NFTのデメリットとは何でしょうか。
今のところよく取り上げられるデメリットは、以下の3点が代表的です。

・法整備が十分ではない
・価値の上がらない(下がっていく)NFTも多くある
・手数料(イーサリアムのガス代)が高いことがある

一つ一つ見ていきましょう。

法整備が十分ではない

NFTが世界で盛り上がりを見せたのは2021年です。
そのために、取引のルールや所有権、著作権、税制度などの法整備が十分ではありません。

スキャムのようなNFT詐欺や、よく確認するとただの偽物をあたかも本物のように販売していたりなど、悪質な詐欺行為も蔓延しています。

ブロックチェーンならではの国を超えた取引や犯罪に対してどのように対応するか。
法律が整備されるまで早くてもあと数年はかかるでしょう。

価値の上がらない(下がっていく)NFTも多くある

個人的には、NFTの価値は投資的側面に限られるものではないと思っていますが、とはいえ現状ではNFTは投資対象(あるいは投機対象)として多くの人に見られていることは否めません。

NFT市場は成長していくことが予想されていますが、価値が大きく下がることもあります。

それは、NFTがどうしても経済、加えて仮想通貨の市況に影響を受けているからです。

新興市場であるNFTは、外部要因に強く影響されます。
2021年の盛り上がりはまさに、仮想通貨の盛り上がりとほぼ時期を同じくしての過熱感であったように見えます。
NFTの大半がイーサリアム建てで取引をされていることからも分かりますが、基軸通貨であるイーサリアムが影響を受ければNFT市況全体も影響を受けやすい立場にありますし、イーサリアムはビットコインなどの仮想通貨市況に影響を受けやすい立場にあります。
そしてビットコインなどの仮想通貨市況は、全体としてナスダックなどのアメリカIT株に影響を受けやすいのが昨今の特徴です。

株式相場、仮想通貨市場などにNFT市場は影響を受けやすい状態が続くことでしょう。

加えて、NFTならなんでも価値が上がっていくわけではありません。

誰でも参加できるようになったことがNFTのメリットでもありますが、それは逆にとらえれば、どんな人間でも制作者になれるようになったと言えます。

都心の一等地のように、CryptoPunksのような希少性が高く価値が高いものは高くなっていき、過疎地の土地のようにだれも見向きのしないNFTに関しては無価値になっていく、というような状態になるのではないでしょうか。

手数料(イーサリアムのガス代)が高いことがある

これはNFTの問題ではなく、基軸通貨となっているイーサリアムの問題ですが、イーサリアムを動かす際に発生する手数料「ガス代」が高騰しています。

NFTの大半はイーサリアムのブロックチェーンを利用しています。
これはイーサリアムの特色である、スマートコントラクトの機能がNFTを可能にし、また優れているからです。

このガス代はユーザーの通信量に応じて高騰しており、仮想通貨の世界では大きな問題となっています。
それを解決するためにレイヤー2やイーサリアム自体のアップデートなどが存在しますが、根本的な問題解決には至っていません。

長期的な視点で見ればガス代は低廉化していくはずですが、現状では手数料が高くなりがちな点は認識しておく必要があります。
また、その代替手段としてSOLやFLOWなどほかの仮想通貨でのNFT決済も行われるようになっていきました。

NFTの歴史

NFTは2020年くらいから急に話題になったため、そのくらいの時期にブロックチェーンの発達で急に現れたと思われている節があります。

実際のところは、どういった歴史の中で今の地位にあるのでしょうか。
ここでは、NFTの発生から現在までを振り返ります。

2012年、Colored Coins(カラードコイン)

世界で初めてのNFTは、カラードコインであると言われています。

2009年に発明されたビットコインは、しばらくブロックチェーンの世界で唯一の存在であったものの、2年ほどするとライトコインなどのアルトコインが誕生し始めてその地位を揺るがされることとなります。

しかし、アルトコインのような新しいコインは、ビットコインとは違うブロックチェーン上に存在するために互換性が無く、雨後のタケノコのように生まれては消え、正常に機能する担保されたコインとして生き残ることができたものはわずかでした。

こうした動きの中で、ビットコインではないブロックチェーンをわざわざ使うのではなく、ビットコインのブロックチェーンを使って担保されたプロジェクトやコインを作り出していこうとした動きが「ビットコイン2.0プロジェクト」です。

そのプロジェクトの中にあったものが「カラードコイン」です。

カラードコインの発想は、ビットコインにカラー(色)を付けることで、ビットコインだけではなく株式や債券、金などのコモディティ、不動産などの情報を載せて、様々なアセットを取引できるようにしたプラットフォームです。

具体的には、ビットコインの取引データにはコインの送信料や送信先以外にもデータを書き込める余白が存在し、このスペースに追加情報であるカラーを付与して、ビットコイン以外の資産であると独自の表現をしています。

こうしてビットコインの技術を引き継ぎながら新しい展開を目指していった中に生まれたカラードコインは、その資産を独自に表す「色付きのコイン」ということで、唯一無二で世界最初のNFTであったと今では評されています。

Colored Coins、世界最初のNFT

2014年5月、世界最初のNFTアート「Quantum」

カラードコインは、2022年の我々からするとNFTという感じがあまりしないかもしれません。
一般的に世界初のNFTといえば、Kevin McCoyのQuantum(2014)を指します。

それもそのはずで、現在では「NFT=NFTアート」という文脈が強すぎて、特に注釈が無ければNFTというのはデジタルアートのことを指すと言っても過言ではないでしょう。

実際にはNFTはNon-Fungible TokenであればなんでもNFTなのですが、世界で最初のNFTアートといえる作品が、2014年に発表されたQuantm(2014)です。

Kevin McCoyというアメリカの芸術家が、New Museum of Contemporary Artというニューヨークの現代美術館で行われた「Seven on Seven」というカンファレンスの中で「Monetized Graphics」という呼称で発表しました。

そのプレゼンテーション中に、オバマ政権下のデジタルストラテジーにも携わったIT起業家、Anil Dashに4ドルで売却します。

2022年2月、Quantum(2014)はサザビーズのオークションにて、約150万ドルにて落札されました。

Kevin McCoy, Quantum (2014).

2015年10月、世界初のNFTプロジェクト「Etheria」

現在のNFTはQuantum(2014)みたいな単品ではなく、シリーズ化したり何かしらの付加価値がついていたりするプロジェクトになっていることが一般的です。

世界で初めてのNFTプロジェクトは、イーサリアムの初めてのデベロッパーカンファレンス、「DEVCON 1」で発表されたEtheriaです。
イーサリアムが世の中に生まれたのが2015年7月30日なので、たったの3か月後にはすでにNFTのプロジェクトが走り出していたことになります。
当初から、スマートコントラクトの概念がとても重要になると思っていた人たちがいたということですね。

Etheriaはマインクラフトのような正六角形のタイルの地図で、そのタイル1枚1枚を購入することができるというNFTでした。

発表当初は43セントと遊びのような価格であまり関心を集めず、NFTが話題になる2021年まで完全に売れ残ってしまっていました。
2021年以降では数千ドルと、約1万倍の価格で1枚のタイルNFTが取引されるようになりました。

Etheria(2015)

2017年6月、「CryptoPunks」

Etheria以降、いくつかのNFTプロジェクトが芽を出し一定の注目を収める中、今日でも最も成功したプロジェクトが2017年6月に発表されます。
それがCryptoPunksです。
Etheriaから2年弱が経過していますが、NFT初期の有名作品ということで今日では安いものでも数百万円、高いものだと数十億円の価値が付くまでに成長してしまいました。

CryptoPunksは24×24ピクセルの小さいドット絵で、合計1万体が存在します。
多種多様な人物をモチーフにしており、そのキャラクターは1970年代のロンドンのパンクムーブメントとサイバーパンクのジャンルから来ているそうです。
たしかに、モヒカンだったり、近未来的な格好していたりと、どこかパンクっぽいです。

CryptoPunks, OpenSea

NFTに興味が無かった方でも、どこかで見たことがあるのではないでしょうか?

CryptoPunksはカナダ人ソフトウェア開発者のJohn WatkinsonとMatt Hallの2人が主催するアメリカのスタジオ「Larva Labs」が制作したNFTです。

2022年3月、後述するYuga Labsに各種知的財産権や制作者が保有していたNFTすべてを譲渡しましたが今でも運営には携わっており、Larva LabsのHPに行けばCryptoPunksの史上最高値一覧や、直近の取引一覧などが見られます。

2022年6月30日時点では、最も高値が付いたCryptoPunksは#5822の23.7ミリオンドル。
現在の円換算で約3,200億円(1ドル=136円)と破格の金額で取引されたことが分かります。

CryptoPunksの史上最高値一覧(2022年6月30日)、CryptoPunks HPより


上位3体は顔色が青く、これは全体の1万体の中でも9体しか存在しない「エイリアン」という種類のCryptoPunksです。

それにしても、シンプルなドット絵にしては法外すぎる値段だとも考えられます。
これが一時の狂乱が生み出すバブルなのか、それとも何世紀も受け継がれていく希少価値の高いアート作品なのか、現段階では批評しかできませんが、これだけの金額が付いていることは事実。

NFTのアートとしての可能性を証明し続けているプロジェクトといっても過言ではなさそうです。

2017年12月、「Decentraland」

FacebookがMetaに名前を変える2021年10月から約4年前、アルゼンチン人のAri MeilichとEsteban OrdanoがDecentralandの構想を発表して、2017年12月にはその「土地のNFT」をオークションにかけて発売しました。

Decentralandは3DポリゴンのVR空間で、いわゆるメタバース空間を目指した新しいインターネット空間です。

新しいSNS、第二のセカンドライフ、など様々な批評がされ、VRゴーグルとバーチャルリアリティー(VR)の未来のカタチと一部でもてはやされました。

NFTの観点から見ると、Decentralandはデジタル空間上の土地を「パーセル」という区切でNFTとして販売しています。
最初は1パーセル20ドル程度だったものが、2021年のNFTブームが来ると1,000ドル程度まで急騰して注目を集めました。

上述の通り、2021年10月にはFacebookがメタバースに注力することを社名でも表すとしてMetaになるなど、コロナ禍の影響もありバーチャル空間に焦点が集まりました。

その土地NFTの重要性に気付いたアディダスやサムソンなどのコンシューマーブランドをさきがけに、ついには会計大手のPwCまで土地を買いだすなどの状態になりました。

2022年3月にはDolce & GabbanaやTommy Hilfiger、Estée Lauderなどが参加する「Metaverse Fashion Week」を開催。
メタバース×NFTという、今注目されている2つの領域にまたがっていることで注目されているこのプロジェクトは、一般公開は2020年2月と土地の販売からだいぶ遅れてのことでした。

2018年3月、「Axie Infinity」

「Play to Earn」で一世を風靡したブロックチェーンゲーム(BCG)、Axie Infinityは2018年に生まれました。

eSportsが世界的な人気を見せており、将来的にはオリンピック種目になるのではないかとまで言われています。

「プロゲーマー」というジャンルこそ「Play to Earn」であるとも言えますが、ブロックチェーンを使ってその仕組みを作り出したのがいわゆるBCG、ブロックチェーンゲームであり、その代表がAxie Infinityです。

Axie Infinityはポケモンやたまごっちなどをモチーフにした、「Axie」と呼ばれるキャラクターが戦うゲームです。
このAxieにはさまざまな種類があり、キャラクターのそれぞれがNFTとなっています。

ゲームのルールなどの詳細は省きますが、Axieを使って戦いに勝つと、「AXS (Axie Infinity Shards)」と「SLP(Smooth Love Potion)」というトークンがもらえる仕組みです。
このトークンはBinanceなどに上場しており、稼いだAXSやSLPを売却して生計を立てる人も出てきました。

これがもう一つの注目された点であり、「ゲームで稼げる(Play to Earn)」として東南アジアをはじめとした新興国で瞬く間に広がることに。
特にフィリピンは仮想通貨の浸透率も高いからか、英語力のある国だからか、「まともに働くよりもAxie Infinityをプレイしてるほうが収入がいい」という状態が続きとてもよく浸透してしまいました。

NFTを戦わせるゲームで、給料以上のお金がもらえる。

当然ながらそういった状態は長くは続かず、20221年11月の1AXS=160ドルから2022年6月末現在の13.6ドルまで、10分の1以上も価値は下落しました。
このゲームを作ったのが欧米先進国のエンジニアによるものではなく、ベトナムのSkyMavis社という企業であったこともブロックチェーンやNFTの普及をより印象付けました。

2021年11月をピークに下落し続けるAxie Infinityの基軸通貨、AXS

2020年6月、「NBA Top Shot」

NFTがフィジカルな世界に浸透した代表的な成功例が、NBAと協力して作ったNFT、「NBA Top Shot」です。
カナダのバンクーバー発のNFTスタートアップ、「Dapper Labs」が作り上げました。
Dapper Labsはこの前にCryptoKittiesという大ヒット作を持っており、実績や資金が豊富にあったことが予想されます。

選手組合の協力も得て、ダンクやシュートを決めるシーンをNFTにするという、トレーディングカード形式のNFTを発行しました。
有名選手の人気シーンには数千万円の値段が付くほどの市民権を得ることに成功しています。

NBA Top Shotの特筆すべきところは、NBAのような一流のプロスポーツリーグのNFTであることに加えて、イーサリアムのブロックチェーンを使っていないことです。

Dapper Labsが開発したFLOWというチェーンを利用しており、イーサリアムのスケーラビリティ問題(一言で述べれば情報処理の手数料が高騰しがちな問題)を解決するクリプトとセットで世の中への浸透を図ったことはユニークでした。

FLOWはイーサリアム関連の銘柄として今後も有望視されている仮想通貨です。
国内の取引所では扱いが無いので、興味がある方はバイナンスから購入してみてください。

FLOWなら『Binance』

Binancは世界最大の仮想通貨取引所。仮想通貨の世界に真剣に取り組むなら、絶対に登録が必要です。

・数千のコインを扱っており、BNB、USDT、SHIBAなど、国内取引所に上場していない銘柄の取引も可能です。
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・世界最大の取引所なので資金量も豊富で、世界中の様々な仮想通貨・ブロックチェーンプロジェクトに投資を行っており財務的にも安心できます。
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・DeFi、NFTの取引などもBinance上で可能です。
・そして何より簡単登録、簡単取引開始が可能です。

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2020年1月-3月、「OpenSea」の自由化

2017年12月にニューヨークの2人の起業家、Alex AtallahとDevin Finzerによって始まったNFTマーケットプレイスのOpenSeaが、2020年に入り自由化されたことでNFT市場は自由市場になったと考えられます。

2020年1月にOpenSeaは、プラットフォーム上でNFTを生成することをどのユーザーでも可能なようにしました。

3月にはマーケットに出品する際の許可が不要になりました。

つまり、デジタルデータを持っていれば誰でもOpenSeaでNFTを作り、それを自由にマーケットプレイスで売買することが可能になったというわけです。

2018年初から2020年前半までの「クリプトの冬」のその時代のまさに出口に、こうした動きがマッチしたのはOpenSea にとっては幸運だったかもしれません。
コロナの反動を経て市況が右肩上がりとなった2021年においては、2021年2月の9,700万ドルの月間流通高から、2021年12月の20億ドル弱までと、約20倍の上昇を見せています。

OpenSea monthly volume (dune.com)

OpenSea, July 2022.

誰しもがOpenSeaに参入することができるようになり、NFTを作る人々が世界中で急増。
NFTが一気に一般化します。

2022年1月にはインドネシアの大学生、Ghozali Ghozaloが卒業式のムービーのために撮影していた18-22歳の自撮り933枚を、NFTとしてOpenSeaに出品。
インドネシアのセレブリティがネタ的に取り上げることで火が付き、なんと最終的には合計で1億円以上の売上につながりました。

Ghozali_Ghozalu - Profile | OpenSea

自分もインドネシアには何度か行ったことがありますが、将来性が非常に高い成長国とはいえ、現状では1人当たりのGDPが4,000ドル前後の国です。
1億円なんて生涯収入以上の価値があるでしょうから、NFTによって新興国と世界が経済的につながった面白い事例だなーと思います。

2021年4月、「BAYC(Bored Ape Yocht Club)」

世界的に人気となったNFT、BAYCは2021年4月に生まれました。
前述のCryptoPunksなども運営する、マイアミのYuga LabsがBAYCのプロジェクト元です。
マドンナやジャスティン・ビーバー、イーロン・マスクが購入したことでも話題になり値段が高騰しました。

BAYCは全部で1万体が発行されています。
下記は101体がサザビーズに出品されたときのコラージュですが、なんとこの101体セットで2,600万ドルもの値段が付いています。

Sotheby’s Brings in $26 Million with Bored Ape NFT Bundle – ARTnews.com

Sotheby’s Brings in $26 Million with Bored Ape NFT Bundle – ARTnews.com

2022年5月、イーロン・マスク氏のTwitterアイコン

高い価値のついてるBAYCですが、特筆すべきとしては今までのコレクター的要素(つまり従来のアートと同類の要素)が強かったNFTの中で、異質な展開を見せました。
かいつまんで説明いたします。

メンバーズクラブ

BAYCの購入者は、購入者のみが参加できるDiscordに入ることが可能になります。
高級自動車や高級腕時計の会員制クラブと似たような感じかもしれませんが、少なくともNFTに10万ドル以上出せるような方が参加しているクローズドなコミュニティですから、何かしら有益なことが多いかもしれません。

詳細は不明ですが、いずれにせよNFTやクリプトに理解がある富裕層のコミュニティの会員権を作った、という点で特異といえます。

Ape Coin

BAYCは独自のトークン、Ape Coinを発行しました。

Ape CoinのDAOのガバナンストークンに使えるほか、ユーティリティトークンとしても使用が想定されています。
The Ape Coin DAOはFTXやRedditの経営者が参画しているDAOで、Yuga LabsとBAYCのファウンダーに総発行量の23%が、BAYCとMAYC(BAYCの派生NFT)の所有者に15%が割り振られました。

バイナンスなどに上場しているので他の仮想通貨のように売買ができるほか、BAYC運営元のYuga Labsが2022年5月に公開したメタバース空間、Othersideの土地をApe Coinで買えるようにしました。

DAOがどうなるか、Yuga LabsのほかのプロジェクトもApe Coinで売られるようになるのかなどの憶測が飛びますが、トークンを作ってNFTエコシステム・コミュニティを構築していこうという面でさきがけの試みとなっています。

Otherside

OthersideはBAYCやCryptoPunksなどを管理するYuga Labsが公開したメタバース空間です。

BAYCと直接的な関係は発表されていませんが、Othersideの土地はBAYCホルダーに割り振られたApe Coinで売り出されたわけですので、BAYCとOthersideの両方を持つホルダーは多いでしょう。

これらの展開からわかる通り、BAYCは単なるアート的NFTではなく、ベネフィットのあるコミュニティの会員権的な機能も併せ持つNFTとしての展開を目指していることが分かります。
安いものでも少なくとも10万ドルからのBAYCですので一般ユーザーにはとても手の届かないものですが、それが逆に高級サロンのような特権的空間を作り出している面白い事例になりそうです。

NFTはどこで買えるのか?NFTのマーケットプレイスについて

ここまでNFTの概要や歴史について触れてきましたが、さて、実際にはどこで購入できるのでしょうか。

ここではNFTの主要なマーケットプレイスについて説明していきます。

世界最大のNFTマーケットプレイス、OpenSea

OpenSea, July 2022.

OpenSeaは2022年現在、世界最大のNFTマーケットプレイスです。
世界のNFT流通額の9割以上を寡占しているとされ、いわゆるデファクトスタンダードとなっています。
日本からNFTを購入する場合でも、まずはOpenSeaでNFTをチェックするのがいいでしょう。

定額販売のほかにオークションも行われており、まずはぶらぶらとしばらくのぞいてみれば、NFTマーケットがどういったものかわかると思います。

ちなみに、マーケットプレイスは基本的にアカウント作成してログインせずとも出品物の確認ができますので、実際に複数サイトを確認してから購入することをおススメします。

業界2番手、Rarible

Rarible – Community-centric NFT Marketplace

RalibleはOpenSeaに次ぐ2番手のNFTマーケットプレイスです。

OpenSeaとは少し異なるポイントがあり差別化を図っています。
例えば、「ガス代は購入者が支払う=制作者の負担が軽くなる」、「NFTが出品されるより前にミント(NFTの生成)をするのではなく、落札されたタイミングでミントすることが可能(lazy minting)」、「独自のガバナンストークンRARIがあり、Rariableで売買すると入手可能(バイナンスなどでも購入可能)」、「コミュニティがあり議論や投票が可能」、などなどがあります。

OpenSeaに慣れてみたら、次はRaribleをのぞいてみるのがいいかと思います。

質を重視したマーケットプレイス、SuperRare

SuperRare | NFT Art | NFT Art Marketplace | Digital Art

SuperRareは質を重視したNFTマーケットプレイスです。

OpenSeaやRaribleが誰でもNFTを出品できるのと対照的に、審査に通ったものしか出品が許されません。
そのために高額なNFTが出品される傾向にあり、さながらサザビーズのようなオークションサイト的な雰囲気が漂います。(運営側もそれを意識してるような気がします)

本当に投資的な側面で、間違いのない高額なNFTを買いたい場合にはとてもいいプラットフォームです。

期待できる国産マーケットプレイス、Coincheck NFT

個人的に関心を寄せているのが、日本の雄、コインチェックが主催するコインチェックNFTです。

特筆すべき点は2点あり、オフチェーン取引のために出品や購入にガス代がかからないことと、決済に使える仮想通貨が多岐にわたる点です。コインチェックに上場している通貨のほぼすべてが取引に使えて、出品者が指定することができます。

すでにAKBグループなどのアイドルのトレカNFTが出されて話題になっていたりしますが、今後はきっとさらに日本のコンテンツなどと組んだNFTなどが発表されていくのではないかと思っており、世界的に注目される可能性もあるのではないかと思っています。

コインチェックNFTを始める場合はコインチェックの口座が必要です。
もしまだ未開設ならば、これを機に国内最大級のコインチェックの口座を開設してください。

仮想通貨・NFTはじめるなら『コインチェック』!!

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「コインチェック」公式サイト

NFTの買い方

NFTについて、今までの記事であらかた把握してもらえたかと思います。

いざ、NFTを実際に買ってみましょう。

イーサリアムを入手

まずは、決済に利用できる仮想通貨を入手しましょう。

基本的にはイーサリアムがNFTの事実上の基軸通貨となっていますので、まずはコインチェックでイーサリアムを購入してください。

まだ仮想通貨を購入したことない方は、以下を参照してください。

https://katoh.blog/how_to_buy_crypto/

メタマスクにイーサリアムを送金

イーサリアムを購入したら、次は仮想通貨ウェブウォレットにイーサリアムを送金しましょう。

用意するウェブウォレットはNFTマーケットプレイスによって異なりますが、まずは最も普及している「メタマスク」を用意するのが鉄板です。

メタマスクは日本語対応もしっかりしていますので、我々日本人でも安心して使うことができます。

もしまだインストールしていない方は、以下を参照してください。

https://katoh.blog/metamask/

OpenSeaにメタマスクを登録

メタマスクにイーサリアムを送金したら、メタマスクをNFTマーケットプレイスに連携して購入準備が整います。

ここでは、最も普及しているOpenSeaに連携しましょう。

OpenSeaでの購入方法については、詳細を別記事にまとめているので下記をご参照ください。
非常に簡単ですよ。

https://katoh.blog/nft-opensea-cnp/

まとめ

いかがでしたでしょうか?

まずはNFTの概要と将来性、特徴を最初に理解してもらいました。

その次にNFTのメリットとデメリットを把握していただき、次にNFTの今まで歩んできた歴史を概観してもらいました。

その後に実際に売買するマーケットプレイスを紹介し、実際の購入手順を示しました。

これを読んでNFTを購入出来たら、晴れてあなたもNFTホルダー!
イノベーターあるいはアーリーアダプターな人物であると誰か?に認定してもらえるかもしれません。

NFTは成長途上であり、まだまだ不明瞭な点が多いです。
これからNFTがどうなっていくのか、一緒に見守って行けたら幸いです。

もしよかったらTwitterのフォローをお願いします!

https://twitter.com/tktk06

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